子牛の快適な生育環境にこだわる
繁殖農家 唐澤朝子さん(飯田市山本)

人懐こい子牛と唐澤さん。京都食肉市場では2016年の半年間で、唐澤さんが繁殖に携わった3頭が特選牛認定を受けている
「食べ残しゼロ」になるよう 工夫をこらして
 「この広い畑地をどうやったらより前向きに、採算が合うように生かせるか」。JAみなみ信州職員だった唐澤朝子さんは2010年、同じくJA職員で畜産技術員の夫、昌和さんと話し合った末、自営で繁殖農家を始める道を選びました。もともと酪農で使用していた農地を新たに肉牛用の牛舎と牧草地に転用。母牛とその子牛、成長途中の育成牛の合計50頭前後を飼育しています。種付けと出産を繰り返し管理する日々は重労働ですが「牛にストレスをかけず、常に良いエサを与えたい」と徹底したホスピタリティーの精神で仕事に取り組んでいます。
 「とにかく牛の体にさわり、触れ合って、コミュニケーションをたくさんとります。子牛は逃げやすいのですが、飼い主に慣れれば慣れるほど日々のストレスがなくなって健康になる。そして毎日たくさんのエサを残さず食べて大きくなってくれます。牛床と飼槽(しそう=固定式のエサ容器)が常に清潔・快適であるように心掛けていて、特に飼槽は『牛が食べやすいこと、食べ残さないこと、もっと食べたくなること、いつでも間食できること』を前提に、構造を工夫しました」
 JAの畜産技術員として研究を重ねてきた夫の昌和さんも「女性ならではの視点を取り入れて、牛舎の設計段階からいろいろと工夫した」と振り返ります。ほかにも「エサの種類、鮮度、与える量と順序に配慮することはもちろん、夏場は風通しの工夫、冬場には暖房用の投光器を設置したり、子牛にネックウォーマー、カーフジャケットを着せたりもしている。すべて子牛が風邪をひいたりしないようにという愛情の表れ」と工夫点を挙げ、唐澤さん流の育牛への取り組みに大いに納得しています。
 「私たちによく懐いてくれることで出荷時のブラシ掛けなども十分でき、より良い状態の素牛として市場に送り出せる。たった9カ月でお別れですけれど、人間の子育てと同じです」と語る唐澤さん。繁殖のプロとして、また育ての親としても言葉に実感がこもっています。


牛舎の奥へ長く、すっきりと伸ばしたエサ場は掃除がしやすく衛生的。牛も全てのエサをきれいに食べきれる作りになっている

子牛がより食べやすく消化しやすいように粗飼料を細かく切って与える
(2016年11月に取材)


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南信州牛ブランド推進協議会事務局
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